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地産地消の推進
県学給は、県農政部、県教育委員会、全農神奈川県本部と連携し、県域レベルでの地産地消の大きな柱として県産米の一元供給に取り組んでいます。
米について、県域レベルでの地産地消を推進する目的の一つに、相模川や酒匂川流域を中心に営まれている本県の米づくり農業の安定経営に寄与することがあげられます。平年時県下の学校給食で使用されている県産米は年間2,200トン余(玄米
、平成28年)です。
米飯給食に使用されている米の産地を知っていただくため、また、生産地の児童・生徒には地元でとれた米が他の地域の米飯給食に使用されている状況を知っていただくため、各学校・共同調理場にお届けする精米(ご飯)の産地を毎月請求書発行時に「物資だより」の中でお知らせしています。
生産地の学校に地元米をお届けする機会をつくる努力もしていますが、地元教育委員会の要望に十分にお応えできていない状況にあります。今後とも、全農神奈川県本部やとう精工場の協力を求めながら、機会を増やす努力を重ねていきます。なお、このことに対する県学給の取り組みと考え方は、別添の資料のとおりです。
(2) 安全・品質の確保
- 購入する玄米は、登録検査機関の等級品位検査を受けています。
- 精米は日本穀物検定協会との検定委託契約により、年に数回、抜取で品質検定を行っています。
- 毎年、残留農薬検査を実施しています。
- 県給食会が定めた基準を満たす施設・設備を整えたとう精工場での精米加工により均一な規格品質でお届けしています。
(3) 安定・安価での供給
- 全農神奈川県本部との契約により、年間必要数量をあらかじめ確保し、安定供給を図ると共に、大量購入することで安価な供給に努めています。
- 凶作時においても、全農神奈川県本部の協力のもと、必要数量を優先的に手配するなど、安定供給と価格高騰の抑制に努めています。
(別添)
県域レベルでの地産地消の推進と地元産米の供給
(県学給の取り組みと考え方)
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自主流通米の集荷状況によって、必要数量の確保が出来ない市町村があります。 また、数量確保ができたとしても、とう精工場、炊飯工場ともに複数の市町村の委託を受けているため、市町村ごとに区分しての精米加工および炊飯が難しい状況です。
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自校炊飯で実施する場合は、いくつかの条件が整えば可能なように思われますが、現在、県学給で委託している大型とう精工場では1回の加工の最低ロットが数トン必要なので、ある程度まとまった需要量が必要となります。それでは、この問題を解決するために小規模な工場での加工を考えた時にどうかといえば、まず、コスト面から考えると小ロットでの保管、輸送、加工による負担増があり、品質面においては、色彩選別機、金属探知器等のないことや、高温期における玄米の低温保管ができないことなど品質、安全面で問題が残ります。
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集荷された玄米は、集荷されて2〜3ヶ月は地元の農協の倉庫に保管され、その後は一括して全農の低温倉庫に保管されます。低温倉庫に入ってしまうと産地ごとの区分が難しくなってしまうので、地元産米の供給希望のある市町村には、地元の農協に玄米が保管されている時期に、関係者の協力を仰ぎ、可能な限り実施できるよう努力いたします。
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現在、横浜市を除く県内全市町村の米飯給食に使用する原料を県産米で対応が出来ているのは、消費地の需要量を生産地がカバーすることにより、県域レベルでの地産地消のシステムが成り立っているからです。生産地の学校への地元産米の供給と県域レベルでの地産地消が両立することが最も好ましいわけですが、このことにこだわりすぎますと現行のシステムは崩壊してしまうことになります。地元という意識を市や町で考えるだけではなく、県域まで広げて考えていただくことが、現行のシステムを維持することになります。また、このことが児童・生徒の地域や農業への理解を深め、県内米作り農家の健全な育成にも繋がるのではないかと考えます。